趣味#8 北風が強いので映画鑑賞-3 『東京物語』感想文

映画
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アメリカ映画の「ローマの休日」、イタリア映画の「道」を観て、同時代の日本映画を観たくなった。

そこで選んだのが、小津安二郎監督の『東京物語』(1953年/昭和28年制作)

東京物語

この映画の題名は聞いたことはあったが、今まで一度もみたことはない。

探してみるとYouTubeでAI技術によりカラー化された映像があったので観てみた。

あらすじと感想

尾道に住んでいる老夫婦(夫・周吉:笠智衆、妻・とみ:東山千恵子)が東京にいる長男・幸一(山村聰)と長女・志げ(杉村春子)に会いに行く。

蒸気機関車に乗って東京まで約15時間の旅だ。

老夫婦の年齢は妻・とみが67歳。夫・周吉の年齢は名言されていないが70歳くらいだろう。

当時の平均寿命か、少しそれを超えている程度かもしれない。

元気なうちに子供と会えるのは、これが最後かもしれない。

東京に着くと長男長女とも両親との再会を喜び、もてなそうとするが、二人とも家庭があり、仕事もある。

1日中両親の面倒を見るわけにはいかない。

東京見物に連れて行こうとするが、急用ができて中止になってしまう。

だから何だということもなく物語は淡々と進んでいく。

子どもたちは親を大切に思ってはいるけれど、日々の生活に追われ、十分に向き合えない。

その結果、親は寂しさを抱えながらも、「いいから、いいから」とそれを受け入れる

私も観ながら「そうだろうな」とか「しょうがないよな」と思ってしまう場面が、淡々と繰り広げられる。

老夫婦は、戦死した次男の嫁・紀子(原節子)を訪ねる。

紀子は一人暮らしの狭いアパートで精一杯のもてなしをする。

老夫婦は、彼女との交流の中で、求めていた親子関係に近いものを味わう。

血の繋がらない親子関係が、ちょうどよい距離感なのかもしれない。

そして老夫婦は「子供たちは、昔はもっと優しかったがな」と言い合い、
末娘が待つ尾道へ帰ていく。


やがて妻・とみが亡くなり、残された周吉は1人で部屋にたたずむ。

そして映画は終わる。

戦後復興中の東京の活気ある風景。

穏やかで平和な尾道の風景。

そんな情景の中で、大きなできごとのないまま、淡々と進むストーリー。

小津安二郎監督の映画は初めて観たが、

あなたはどう思いますか?

何を感じましたか?

と、問われているような気がする。

親子関係・家族とは

この映画は70年前の映画だ。

映し出される景色こそ違うが、描かれている親子関係は、今とそれほど変わらないように思える。

親がいて子がいて、親は年老いて行き、子は大人になり、子が生まれて親になる。
そして親は年老いて行き、子は大人になり・・・・これがずっと繰り返されてきた。

今も続いているし、これからも続いていくだろう。

その中で、親子関係も少しずつ変化してきた。そして、これからも変わり続けるだろう。

どのような親子関係が、正しいのか、良いのか、わからない。

考えたこともあまりない。

これからもあえて、考えようとは思わない。

たぶん正解はないのだろう。

この映画の本質を理解するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

孤独を味わう日

周吉が1人で部屋にたたずむ姿が、なかなか頭から消えない。

周吉は何を思い、何を感じていたのだろうか。

将来、私も周吉のようになる時が、くるかもしれない。

同じように、孤独を味わう日が、くるかもしれない。

先に見た、フェリーニの『道』も「孤独」がテーマだったように思える。

ジェルソミーナは「小石も、自分も、この世の中で何かの役にたっている」と信じようとした。

人は周りの人々との繋がりの中に、自分の役割、存在理由を感じ取ることで、孤独を感じなくなるのかもしれない。

しかし、ザンパノは自分の価値観に固執し、それに反する人々を排除した。

そしてジェルソミーナも排除し、最後には絶望的な孤独を感じることになる。

一方、周吉は誰も排除していない。

むしろ、子どもたちとの繋がりを求めていた。

それでも、年老いるにつれて、世の中との関わりが薄れていき、孤独になっていく。

そして、その先には「死」がある。

ああ、考えれば考えるほど、気が滅入ってしまう。

気が滅入ったときは『ローマの休日』だ。

『ローマの休日』には孤独感がない。いいですね!

けれど、宮殿の中にいた頃のアン王女は、孤独だったのかもしれない。

宮殿を抜け出し、外の世界を知り、恋をし、成長し、自分の役割を自覚する。

そして未来に向かって歩みだす。

未来に思いをはせれば、人は孤独を感じないのかもしれない。

プロジェクターを設置して、楽しく映画を観るもりだったが、思いがけず「孤独」という重いテーマにぶち当たってしまった。

とはいえ、今の私は一人でいることが嫌いではないし、孤独も感じていない。

なぜだろう?

……深く考えるのは、今はやめておこう。

しかし、いずれ一人になったとき、孤独になったとき、そのときは、周りに迷惑をかけずに、その孤独を受け入れられるようになりたい。

そのために、どうしたらいいのか?・・・は、わからないが、

まずは・・・・

健康寿命を延ばすため、

風が止んだら、また散歩でもしてみようかと思う。

俳優について

周吉を演じた笠智衆は、撮影当時の実年齢は49歳。

演じた役は70歳。21歳差を演じている。

老人としての立ち居振る舞いや、話し方を演じるのは、かなり難しかっただろう。

「男はつらいよ」で、帝釈天の住職を演じていた頃が、70歳前後だ。

寅さんに「御前様」と呼ばれていた時の方が、やはり自然体に見える。

ちなみに私は長いこと、笠智衆を「カサチ シュウ」と読んでいた。文字変換もこれで出てきた。

今回感想文を書く中で、「リュウ チシュウ」であることを知った。

笠智衆さん。大変申し訳ありません。

映画ランキング

今回、アメリカ、イタリア、日本の同時代の映画を、続けて見たのですが、それぞれまったく違った印象を受けました。

『ローマの休日』は相変わらず楽しかった。大好きな映画だ。

『道』は相変わらず怖かった。

『東京物語』は初見なので、まだまだ消化不足です。

映画監督が選んだ映画ベスト100というのがあります。

英国映画協会が、10年ごとに実施してるようです。

2022年版は、世界の著名な映画監督480人が投票したそうです。

ランキング結果は

『東京物語』は4位

フェリーニの『道』は38位

『ローマの休日』は圏外でした。

『東京物語』の4位はすごいですね。

日本映画ではトップです。

こんなに評価の高い映画だとは知りませんでした。

投票した監督の感想を、ぜひ聞いてみたいものです。

フェリーニの『道』の38位は妥当だと思います。

『ローマの休日』の圏外は残念です。

この映画でオードリー・ヘップバーンは、新人ながら、アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しています。

名作なのは間違いありません。

この投票結果には、映画監督としての見栄がまじっているように感じます。

映画に対する評価と、個人的な好き嫌いは別だからかもしれません。

上位にランキングされた映画は、私が観たことがないものが多いです。

わたしは、やはり、ややこしいのより、エンタメ系が好きです。

ちなみに1位は「2001年宇宙の旅」です。

SF映画は好きです。
「2001年宇宙の旅」は学生の頃、めずらしく銀座の映画館でみました。

座り心地の良い椅子だったせいか、始まってすぐ寝てしまい、途中の大音響でびっくりして目が覚めました。

なので感想は「????」です。

どうやら私は、映画監督には向かないみたいです。

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