趣味としての「音楽」
相変わらず暑い。
暑い、暑い、熱い。
家の中で 何かできることはないかと思いながら、本箱の整理を始めたら
古い楽譜が出てきた。
音楽か……。
そういえば、ギターがあったはずだ。
「ダルマンダラ」の趣味の候補として「音楽」もあげていたし・・・
久しぶりに弾いてみようか。
確か納戸にあるはずだ。
そう思い、納戸を開けてみた。

扉を開けた瞬間、足の踏み場もない景色が広がる。
二畳ほどのスペースに、ものが これでもかと 詰め込まれていた。
これは、私ではなく、妻の仕業だ。
以前から「なんとかしろ」と言っているのだが、
一向に なんともならない。
ものを箱に入れて 押し込み、袋に入れて積み上げると、
何が どこに いくつあるのか 分からなくなる。
「これは頭の悪いやり方だ」とか
「整理整頓以前の問題だ」とか、
ブツブツ言いたくなるが、
我慢しつつ、少し片づけようかと思ったが、猛暑の中で行う作業ではないと、早々に断念した。
ラックの上にあったキーボード
ふと、左側のラックの上を見ると、キーボードが見えた。
「ああ、そういえば あったっけな」と思い出し、
なんとか 引きずり下ろした。
KORG POLY-800という古いシンセサイザー。
40年以上前、東京に住んでいた頃に買ったものだ。
結構重い。測ると4.5㎏あった。
足場の悪い状態で、
なんとか かんとか 引きずり下ろす。
これだけでも 汗びっしょり。
ホコリと汚れがひどかったので、まずは掃除から。
様々な クリーナーを使い、すみずみまで拭き上げた。
これでも 一汗かいた。
結構、綺麗になったキーボード

電源が入らない、と思ったら…
掃除を終え、電源を入れてみたが……反応がない。
だろうな、とは思っていた。
電池カバーを開けてみると、単2電池が 6本入っていた。
取り出してみると、液漏れして錆びたようになっている。

電池は新しいものと交換し、
さらに、9Vの 電源アダプターがないかと探してみた。
しばらく探したところ、古いソニー製の 9Vアダプターが出てきた。
極性も「センターマイナス」で 問題ない。
電源アダプターの豆知識
ちょっとした豆知識だが、
ACDCアダプターには「センタープラス」と「センターマイナス」という極性の違いがある。
見た目は同じでも、中の電気の流れが違うため、間違えると機器が壊れることもある。



機器の裏側などにある この極性マーク をよく確認して、合ったアダプターを使うよう注意しなければならない。
そもそも規格が統一されていないのが不思議だが、
知らずに間違えて「動かない壊れた」と勘違いして 買い替えることになると、
無駄な出費が 永遠に続いてしまう。
やっと通電、でも音が出ない
このキーボードは、がたいがいいわりに、アンプも スピーカーも 内蔵されていない。
各、接続プラグ部に 接点復活剤をスプレーしてから、アンプにつなぐ。
そして、電源アダプターをつないで 電源を入れてみた。
表示部のランプが点灯。いい感じだ。
さっそく 鍵盤を押してみる。
鳴らない。
いろいろな 音色が出せるはずなのに、妙な雑音のような音しか出ない。
何故・・・?
原因を思い出した。
音源データが消えてしまっているのだ。
昔のこの手の機器は、電池によって内部メモリのデータを保持していた。
今のように フラッシュメモリがある時代ではなかった。
工場のロボットのデータが消えて、大騒ぎした思い出もある。
フラッシュメモリの出現により、世の中 大きく変わった。
ちなみに フラッシュメモリを開発したのは、東芝の 舛岡富士雄氏。
群馬県出身である。
ちょっとだけ群馬自慢。
(東芝が、この技術の先進性を認識できず、活かしきれなかったという話は有名だが、それはまた別の話)
音源データはカセットテープ
このキーボードの音源データは、当時 カセットテープで提供されていた。
パソコンのゲームソフトも 同じくカセットテープで、アナログ音を デジタルに変換して 読み込ませていた時代だ。
音源データのカセットテープを探してみたが見つからない。
以前、カセットテープをまとめて 捨ててしまったことがある。
どうやら、音源データのテープも そのときに 一緒に捨ててしまったのかもしれない。
今さらながら、捨てなければよかったと 後悔する。

「断捨離」という言葉が流行っている。
正確な意味は知らないが、なんでも捨てればよいというものではない。
整理整頓は大切だと思う。
そのうえで「何が どこに いくつあるか」を把握できるようにすることが 大切だ。
我が家の納戸を見て、あらためて そう思った。
ひょっとしたら、「音源テープ」も 納戸のどこかに あるのかもしれないが、今の状態では探しようがない。
「もはや これまでか」とあきらめた。
・・・・が、
ネットで探してみたら・・・
試しに ネットで検索してみた。
「POLY-800」と入力すると、
結構 色々出てくる。動画も出てくる。
ほとんどが、海外の動画だ。
修理や改造の動画もある。根強い人気のある機種のようだ。
その中に、音源データがアップされた動画があった。
再生すると「ピー、プー」と音が鳴ったあと、猛烈なモールス信号のような音が続く。
懐かしい音だ。10秒ほどでロードできる。
音源データ
パソコンのイヤホン端子から キーボードの入力端子につなぎ、音を流す。
成功すれば「Good」と表示されるはずだが、出るのは「Erro」の表示ばかり。
音量を調整しながら、何度もトライしたが「Good」が出ない。
ああ、やっぱりダメか……
そう思って、なにげなく鍵盤を押してみた。
鳴った。
ちゃんと音が出た。いかにもシンセサイザーらしい音が鳴った。
復活した。
キーボードが よみがえった。
久しぶりに、小さな達成感を味わった。
汗だくで格闘しただけに、ちょっと嬉しかった。
でも、私は弾けない
……と、ここまでがんばったものの、私はキーボードを演奏できない。
昔、練習してみたが、1曲も弾けないまま、あきらめたのだった。
忘れていた。
そもそも、今回はギターを探すのが 目的だった。
その途中で、たまたま目に入った キーボードに気を取られ、
思わぬ方向に 進んでしまったのだ。
せっかくだから、また少し練習してみようか――
そう思うと同時に「三日坊主」という言葉が 頭をよぎった。
やっぱり、ギターの方が まだ なんとかなる気もする。
でも、あの納戸をもう一度開ける気力は、もう残っていない。
さて、どうするか……

暑いので、考えるのをやめた。
ギターと キーボードの 調律をした記事です。
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