年々増す 異常な暑さ
8月5日。
伊勢崎市が 41.8℃を記録し、暑さで日本一になった。
ちなみに、
前橋市が 41.0℃
高崎市が 40.5℃
桐生市が 41.2℃
館林市が 40.2℃
埼玉の熊谷市も 40.7℃
群馬の平野部は 軒並み 40℃を超えた。
最高気温が高いのもキツイが、
夜の気温が下がらない方が辛い。
寝苦しくて 寝不足が続く。これが体力を消耗させる。
いつかは 群馬県から 日本一が出ても おかしくないとは 思っっていたが。
いざそうなると、いかがなものかと
ちょっと 複雑な気持ちになる。
「異常気象」という言葉も、今やすっかり日常語になったが、
異常の度合いが 増しているように思える。
いつか、42℃超えの町が出る日も 近いかもしれない。
暑さ自慢に囲まれた町
伊勢崎市と館林市の間に 太田市がある。
私が生まれた町だ。
北側が桐生市で 南側は利根川を越えて 熊谷市がある。
暑さで有名な町に囲まれた太田市も 当然暑いが、
アメダスがないので、公式の記録がない。
ひょっとしたら、群馬で一番暑いのは太田市かもしれない。
子供の頃、夏休みといえば、毎日外で遊びまわっていたが、
今は、炎天下の公園には 人っ子一人いない。

精をつけるウナギ
この酷暑を乗り越えるため、精をつけねばと思い
スーパーでウナギを買ってきた。
袋入りのかば焼きで、湯せんして食べるタイプだ。
大きいのや、小さいの。
高いのや、安いの、いろいろあった。
小さくて 安いのを選んで 買ってきた。
うなぎの思い出
母の実家の近くに ウナギの養殖所があった。
利根川の近くだ。
学生ころ帰省すると、祖母が、いつも うなぎのかば焼きを 持ってきてくれた。
あの味は、今も記憶に残っている。
ふわふわで 極上の味だった。

夕飯には、妻が湯せんしてくれたウナギを食べた。
決してまずくはなかった。
でも、思い出の中のウナギとは、やはり別物だった。
「これで猛暑に勝てるか?」といわれると……ちょっと自信がない。
ウナギのつかみ取り
そのウナギの養殖所で、以前 数十匹のウナギを まとめて買ったことがある。
町の夏祭り会場の一角で、ウナギのつかみ取りをすることになり、その手伝いをすることになり。
調達にいったのだ。
「ウナギのつかみ取り用のウナギください」
と 少しまぬけな 注文をすると
店主は
「それじゃ、大きいのとか、小さいのがあったほうがいいね」といって
手際よく 水槽からウナギを取り出し、袋につめてくれた。
そして 酸素を入れて 膨らんだビニール袋をダンボールに入れ、私の車に詰め込んでくれた。
ウナギ脱走
持ち帰ると、会場となる駐車場に、丸太んぼうを四角く置き、
そこに大きなブルーシートをかぶせてある。
そこに、ホースで水を入れている。
深さが くるぶし位になったところで ウナギを入れた。
こんなもんでいいだろうと、開始時間を待つことにした。
しばらくすると、なにやら風が吹いてきた。
空を見上げると、灰色の厚い雲が広がってくる。
ゴロゴロゴローーと雷鳴も響き渡る。
まもなく、ボタッ、ボタッ と大きな雨粒が落ちてきた。
そして、ボタ ボタ ボタ、ザッザッザーーーーーーー
と ものすごい豪雨となった。
上州名物の雷だ。
雷には慣れているので驚きはしないが、
なんで今なんだと、ぶつぶつ言いたくなる。
でも すぐやむだろうと テントの下で一服していると、
「アッ やばい!」と叫ぶ者がいた。
ウナギのプールの水かさが 増している。
そのうち、ウナギがプールから、一匹 二匹 と脱走しはじめた。
あわてて、みんなで駐車場を のたうち回るウナギを つかんでは プールへもどす。
という作業を 雷雨の中でおこなった。
つかみ取り大会の前に、つかみ取りをして、ずぶ濡れになってしまった。
雨がやみ、雲がちぎれ、雲間から日差しも出てきた。
真夏の強い日差しだ。
子供たちの歓声と 母親たちの本気
予定時間は過ぎてしまったが。雨がやむとともに、人が集まってきた。
子供を引き連れた お母さんたちが中心だ。
小学生の低学年生がメインで、さらに小さな子もいる。
早速始めると、
靴を脱いだ子供たちが、プールに入り込み、ウナギをつかみ始めた。
小さな女の子も「キャーキャー」いいながらも、笑顔で楽しそうにウナギをつかまえている。

夏休みのいい思い出になるだろう。
ずぶ濡れになったかいがあった。と思った。
子供たちは楽しそうなのだが、
回りにいるお母さんたちは、真剣な表情で
「ほら右!」
「ほら後ろ後ろ!」
「もっとしっかりつかんで!」
「もう一匹つかまえて!」
と、かなり熱くなっていた。
家族全員ぶんの 夕飯のおかずを ゲットしようとしているのだろう。
それでも小さな子には 難しく、
一匹も捕まえられない子達もいた。
そんな子には、袋に一匹入れ渡してあげた。
がんばれ少年
ほぼほぼ ウナギがいなくなったころ。
体格の割といい少年が 私の前に立ち、
「おじさん。うなぎにはどんな餌をあげたらいいのですか?」と聞いてきた。
「餌 ??」
ああ、「この子は ウナギを 育てるつもりなのだな」と思ったが
ウナギの餌に関する知識はなかったので、
「なんだろなー?」と首をひねってると
近くにいた、お母さんが
「餌なんか、やらなくていいんだよ」といった。
「えっ、餌をやらないと死んじゃうよ」
「いいんだよ。食べるんだから」
「えっ、かわいそうだよ。僕、飼う!」と少年はいった。
「だめだめ、食べるの!」といって、
お母さんは少年の腕を引き、立ち去った。
少年は、「ウナギのつかみ取り」という言葉を聞いたときから、
捕まえて飼うんだと 張り切っていたのかもしれない。
一方お母さんは、
当然、今夜のおかずとして ウナギ をみていたのだろう。
私も、お母さんと同じ考えでいた。
二人の姿は見えなくなったが、
遠くから「た・べ・る・の!」という お母さんの声が 聞こえてきた。

少年は、まだまだ世の中の あれやこれや をうまく認識できていない。
少年時代には よくあることだ。
少年は 少年の世界で生きている。
私は「あはは」と笑いながらも、少年よガンバレと 心の中で応援した。
あの少年もいまは、立派な働き盛りの大人になっただろう。
先輩としてのエール
今の経済環境も、異常気象といっていいほどの荒波だ。
負けずに 前へ 進んでほしい。
あらためて、先輩としてエールを送りたい。
「ウナギを食べて、ガンバレ!」