プールとの出会い
プールへは 4年ぐらい前から通っている。
当時勤めていた パート先の近くに プール施設があり、高齢者無料という魅力もあり、運動不足と減量のため 通い始めたのだ。
若いころ、一時期 スイミングスクールに通っていたことがあり、クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライと、一応 ひと通りは習った。
何十年ぶりのプールでは 体も固くなり、体力の衰えもはっきりしていて、まずは ビート板で バタ足や 平泳ぎのキックから 再出発した。
少しずつ泳ぎを取り戻し、今では 主にクロールで25mを 泳いでは 歩き、また泳いでは 歩く、の繰り返し。
平泳ぎは 右ひざが痛むし、背泳ぎは危い。
バタフライは不得意だし「溺れているのか?」と勘違いされそうなので 封印している。
結局、無理のないスピードで クロールを続けるのが 自分に合っているようだ。
体も動くようになり、体重も少し減ったところで、昨年の夏に 前立腺癌の手術を受けた。
その後の 尿漏れもあり、しばらく通えなくなったが、
今年 6月ころから ようやく再開できた。
猛暑の中で 体を動かすには、やはりプールは ありがたい場所だ。
夏休みに入ると、子供たちが増え、にぎやかな雰囲気もまた楽しい。
ところが、このプールが 8月いっぱいで閉鎖となった。
老朽化による改修工事で、再開は 来年春になるという。
残念だが仕方ない。
そこで、新しいプールを探すことにした。
県立ふれあいスポーツプラザ

伊勢崎市の北、国道17号バイパスから少し入ったところに
「県立ふれあいスポーツプラザ」がある。
主に 障害者 や 高齢者 向けの施設だが、もちろん 一般の人も利用できる。
プールのほかに 体育館、トレーニング室、運動場、テニスコート、アーチェリー場までそろっている。

さすが 県立だけあって 立派なものだ。
プールの利用
利用料金は 施設ごとに異なるが、障害者と その介助者は無料。
高齢者は ほぼ半額で、プールなら 200円と格安だ。
高齢者が利用する場合は、まず登録が必要になる。
名前や住所のほか、緊急連絡先や かかりつけ医の情報などを用紙に記入する。
すると「利用証」が発行され、利用のたびに受付に提出して 帰りに返却してもらう仕組みだ。
少し手間はかかるが、きちんと管理されている 安心感がある。
プール施設の特徴
更衣室入口は自動ドアで、バリアフリー設計。
車いすの方でも 利用しやすいよう工夫されている。
25mプールは 5コースに分かれている。
リハビリ歩行コース(手すり付き)
遊泳コース(2レーン。ビート板や途中休憩もOK)
完泳コース(立ち止まらずに泳ぐ専用)
浅いコース(テーブル設置で子どもでも安心)
入水用の階段は 両側に手すりがあり、高齢者や 障害者にやさしい造りだ。
監視員も 3-4人常駐していて、安心感がある。
プールはやや深めで、小柄な方には「ちょっと歩きにくい」と感じることもあるかも。
実際に「深すぎて大変」とつぶやいていた おばちゃんもいた。
平日はやはり 高齢者が多い。
障害のある方も リハビリや 水泳をしている。
障害者専用レーンが 設けられることもある。
子供達が 遊び回る雰囲気はないが、今風のBGMが流れていて、
単調になりがちな運動に ちょっとした 気分転換を与えてくれる。
ここに通うことに決めた。
以前のプールに比べて、特別 遠いわけではない。
実は 前から この施設の存在は知っていたのだが、「障害者・高齢者向け」施設ということで、
少し敷居が高く感じていた。
けれども今は 立派な高齢者。堂々と利用できる立場になった。
館内を見学すると、プールのほかにトレーニング室もあり、各種の器具がそろっている。
「いつも空いていますから、ぜひ利用してください」とスタッフの方が声をかけてくれた。
施設の方々も皆親切で、安心感がある。
これからしばらく、この県立ふれあいスポーツプラザに お世話になることにした。
思い出した「思い出」
実は、この施設の利用は 初めてではない。
まだ 泳げなかった娘を 連れてきたことがある。
娘は 小さい頃から耳が悪く(中耳炎)で、長い間プールに入ることができなかった。
小学4年生になって ようやく水に入れるようになり、
「泳ぎを教えてほしい」と私に頼んできた。
友達はみんな泳げるのに、自分だけ泳げない。
その悔しさもあったのだろう。
身長が低い娘にとって、大人用のプールでは 立つのがやっとだったが、
この施設には 常時「浅いコース」があり、そこで練習することができた。
最初は顔を水につけるだけで 精いっぱい。
浮くことさえできなかったが、毎週通ううちに 少しずつ上達した。

やがて 少しだけ 泳げるようになった。
通知表の 体育の欄には「よくがんばりました」の印。
ほかの子と比べれば 遅れていたかもしれないが、娘が「よくがんばった」ことは間違いない。
父親らしいことをした 数少ない思い出だ。
夏の終わり
空も いくらか 秋めいてきた。

まもなくお彼岸。長かった猛暑の夏も、ようやく終わりを迎えようとしている。
あのころの 娘に負けないように、私も「スポーツの秋」を合言葉に、本格的に体を動かしていこうと思う。